東日本大震災から4年目の3月11日を迎えました。京都でも防災訓練が行われました。
3月11日で東日本大震災から4年を迎えました。京都市や向日市では「シェイクアウト訓練」なるものが行われました。学校で行われている避難訓練の市民版といったもので、携帯電話に緊急速報メールの訓練メールが届いて驚いた方も多かったかもしれません。こうした機会に意識を高めていただければと思います。
この訓練メールの文面には。京都にとって重要なことも書かれていました。「この地震により大火災が発生した場合、火災等の二次災害の危険から生命の安全を確保するため、近くの広域避難場所に避難してください。」という一文です。京都は太平洋戦争で大規模な空襲を受けていないため、古い町家や細い路地もたくさん残る都市です。それが京都らしさでもありますが、最も恐れなければならないのは地震後の火災です。
地震火災は通常の火災よりも燃えやすいという特徴があります。地震が食事時に襲い、同時多発的に火災が発生すれば、消火が追いつかなくなる可能性も高くなります。さらに地震で家屋が道路に倒壊すると消防車両も入って来にくくなります。あるいは防火水槽や水道管が地震で破損すると、水が出ないこともあります。耐火建築と呼ばれるものは確かに表面は燃えにくいですが、地震によって損壊して内部が露出すればそこは燃えてしまいます。さらにはビルや瓦礫が、かまどのような役割を果たして、コンクリートのビルさえも炎に包まれるということもあり得ます。江戸時代の大火の記録を鑑みると、強風が吹いている日であれば炎は鴨川程度の幅は飛び越えて燃え広がるため、風向きには十分に注意をしながら、避難を行うようにして下さい。
訓練メールの文面にある「広域避難場所」がどこにあるか?事前に確認しておいていただくのがベストですが、これは大通りには必ず掲示されていますので、すぐに分からない場合は広い通りに出て看板を探してください。多くの人が避難できる場所(鴨川や円山公園、岡崎界隈など)が広域避難場所に指定されています。ただし、この時も火災を警戒して風下には逃げないこと。関東大震災では多くの人が逃げた避難先が炎に包まれ、数万人が一度に亡くなるという恐ろしいことも起こりました。風向きは気象の変化とともに変わるため、避難所に逃げれば安心とも限りません。また火災旋風と呼ばれる炎の渦が生まれてより被害が大きくなるという可能性もありますので、火の動きには常に警戒をしておく必要があります。
地震直後はまずは周りに注意をしながら身の安全を確保してください。京都の場合は石灯籠や石鳥居、古い土塀などの倒壊にも注意が必要です。灯籠の下敷きになって無残に亡くなった例が江戸時代の地震でも記録に残ります。そして火を消すのは揺れが収まったあと。揺れている最中は無理に消しに行ってはいけません。反対に揺れが収まれば真っ先に火を消しましょう。家族が下敷きになって入ればすぐに助けたくなるのが人情ですが、北丹後地震の時には家族を助けようとする間に火が大きくなってしまい、結果的に家族を見殺しにせざるをえなかったという、いたたまれない話もあります。まずは手におえるうちに火を消してから、家族を助けるようにして下さい。地震はいつやってくるかわかりません。どんな状況で遭遇するか、生死を分けるのは運もあることでしょう。いざという時に少しでも生き残る確率を上げるために、日頃から関心を持って頂ければと願っています。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。特技はお箏の演奏。