20日・21日は京都の各町内で地蔵盆が行われました。地蔵盆と言えば各町内に祀るお地蔵さんを中心に行われますが、お地蔵さんがない町内には貸し出し地蔵(出開帳)というシステムもあります。
8月24日はお地蔵さんの縁日。ともなって24日に近い土日に京都では地蔵盆が行われ、町内ごとに数珠回しや福引など様々催しを行って、町内の結束を高めます。京都は通りが変われば町名が変わるため、そこかしこで地蔵盆が行われ、町内によっては道路も通行止めにさえなり、初めて京都の地蔵盆を見て面食らう方も多いことでしょう。
お地蔵さんは子どもたちを守って下さる仏様で、地蔵盆は基本的に子どもたちのお祭りです。たくさんのお菓子をもらえ、福引ではおもちゃも当たります。お菓子や行事の時間には、子どもたちが鐘をたたいて町内に知らせます。水風船釣りや輪投げ、ビンゴにスイカ割り、缶を並べてボーリングのように遊ぶ町内もあります。京都では明治の初めに廃仏毀釈で地蔵が撤去され、地蔵盆も禁止になった時期がありました。そこから復活してきた現在の地蔵盆。町内の盛り上がりを見ていると、やはり楽しいものには規制はきかないのだと感じます。大人たちにとっても大切な交流の場でもあり、町内の人々のつながりはこうしたお祭りを通して保たれて行くのでしょう。
京都では町内ごとに見かける気がするお地蔵さんですが、新興住宅地などでは地蔵を常時祀っていない地域もあります。そんな場所のためにあるのが貸し出し地蔵という仕組み。正確には出開帳という仏様の出張制度です(レンタル地蔵と呼ぶ方もおられます)。京都では壬生寺で行われています。壬生寺の本尊は地蔵菩薩で、境内には約3000体もの石仏が祀られ、その一部が地蔵盆に貸し出されるのです。壬生寺のホームページによると50年以上の歴史がある仕組みだそうですが、江戸時代の終わりから続いているという別の記事も目にしました。
実は今年は壬生寺へ様子を見に行きましたが、残念ながらお地蔵さんが出入りしている場面を目にすることはできませんでした。この辺りの詳細は他のブログに書かれていますので、興味のある方は調べてみてください。いずれにしても借りてきてでも地蔵盆を行うという京都人の心意気が感じられる仕組みだと思います。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。特技はお箏の演奏。