水火天満宮は堀川通上御霊前上るにある神社で、菅原道真を祀ります。創建は923年とされて北野天満宮の947年よりも古く、日本最初の天満宮を名乗る神社のひとつです。道真の仏教の師であった延暦寺の尊意僧正が、醍醐天皇の勅願で道真を祀ったのが始まりと言われています。昭和25年までは、堀川通を挟んだ西側の上天神町にあり、その場所は尊意僧正の別邸の地で尊意が山を下りて来た際に道真公と会見したゆかりがあるため、祀られたとされています。
太宰府に左遷された菅原道真は903年に失意のうちに亡くなりますが、その後、都では疫病や特に雷の災害が多発しました。そのため醍醐天皇は比叡山から道真の仏教の師である尊意僧正を呼び寄せて雷よけの祈祷をさせました。その道すがら鴨川に差し掛かると、突然の大雷雨が起こります。しかし、尊意が川に向かって祈ると、なんと川が真っ二つに割れ、割れた中から出てきた石の上に道真公がいてやがて天に昇って行ったということです。その石を持ち帰り、大切に祭ったのが境内にある「登天石」だと伝わっています。
神社は文字通り水難や火難から守ってくれる天満宮という意味で水火天満宮と呼ばれ、春は境内のしだれ桜が美しく、地元の方に親しまれています。子授けや安産祈願の玉子神石や出世石など、様々なご利益を授かれる場所でもあります。さて、神幸祭は小型の神輿が出て氏子地域を進みます。先ぶれの太鼓の軽快なリズムが印象的。今回は出発の場面を見てきました。堀川通のイチョウ並木にもよく神輿が映えます。今回は見ませんでしたが、神幸祭では、向かいの興聖寺境内に神輿を入れて神仏習合の行事も行われます。機会があればご覧になってみてください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。特技はお箏の演奏。