愛宕神社の千日詣り 朝御饌祭と人長の舞 2016年

千日詣り 朝御饌祭
愛宕神社の千日詣り。午前2時からの朝御饌祭の様子をご紹介します。

千日詣り愛宕神社は京都の北西にそびえる山。その標高924mの山頂に愛宕神社は鎮座しています。京都のお店ではよく「阿多古祀符火廼要慎(あたごしふひのようじん)」 と書かれた愛宕神社のお札を見かけ、火除けの御利益で知られる神社です。千日詣りの日に限らず、3歳になるまでに愛宕神社に参拝をすると一生火難に合わないとされ、この日も幼子を連れたりおぶった親子連れを何組もお見かけしました。山頂への道はふもとの清滝からおよそ2時間、往復5時間ほどは要する初心者にはなかなか険しい山。千日詣り(千日通夜祭)が行われるのは夜で、山の天気も変わりやすく、それなりの装備が必要。決して甘く見て登らない方がよいでしょう。清滝から山上までは水分を補給できる場所がほぼないため、必ずスポーツドリンク類を持参してください。

千日詣り 朝御饌祭午前2時から本殿前で朝御饌祭(あさみけさい)が行われます。朝御饌祭では神に神饌を奉納し「人長の舞(にんじょうのまい)」も披露されます。また、小さな火を焚き、その火を消す独特の鎮火神事も行われます。この鎮火神事をきちんと見るには本殿前の席の前の方ないし中央付近に座らないと難しく、かなりの運を要します。基本的には神職さんと関係者、信奉者が優先となり、一般の方は席が空いていれば座れるというもの。昨年は大変運よく中央の2列目に座れましたが、今回は端に立って見させていただきました。なお、写真撮影はOKですがフラッシュはNGです。

千日詣り 朝御饌祭神事の中で舞われる人長の舞は、とても優雅な舞です。人長とは宮中で神楽を舞う舞人の長のことで、ここでは武官の装束を身につけて舞を舞います。手に持つ榊には丸い木製の輪がついていますが、これは三種の神器の一つの神鏡を表しています。舞にあわせて一音一音を長く延ばしながら歌が歌われているのも印象的。

千日詣り見える方は限られていますが、舞の最中には小さな火を焚きあげます。人長の舞はこの火が焚かれる中で行われ、幻想的な光景の奥で、優雅な舞が繰り広げられていきました。やがて人長の舞が終わると、火は水をかけられ、そしてヒカゲノカズラという植物を乗せて、最後にまるでお餅のように石を重ね置いて消されます。鎮火神事ということだからか、厳重に鎮火されていたように感じます。

千日詣りさて、午前2時を過ぎても愛宕神社の境内は大賑わい。火除けのお札は飛ぶように売れていきます。また、朝日を待ってか寝袋やシートを持ちこんで仮眠をとる方も大勢いました。境内に座り込んでも怒られないところはとても大らかです。この日の気温は、午前3時過ぎで21℃ほど。山上は冷えるため着替えや長袖もあるとよいでしょう。エネルギー源となる軽食もあれば安心(ゴミはお持ち帰りください)。千日詣りはたいへんしんどいですが、古からの信仰を文字通り体感できる貴重な機会です。天候や体調を含め、チャンスがあれば万全の準備でチャレンジをしてみてもよいでしょう。

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2016」監修。特技はお箏の演奏。

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