4月23日に松尾大社の松尾祭(まつのおまつり)の神幸祭があり、桂川を神輿が船に乗って渡る船渡御が行われました。
桜が終わった京都市街地は、5月にかけて毎週のように春祭りが続いていきます。4月20日以降の日曜日に行われるのが、松尾大社の松尾祭の神幸祭です。神幸祭は、神社に鎮座している神々が、神輿に乗って氏子町内を回り、神様のお宿ともいえる御旅所へと入るお祭りです。普段は氏子が神社まで足を運びますが、祭りの時は神様が出向いて、まさに氏子町内に神の幸(さち)を与えていくのです。このように、氏子町内に神様の方から来て下さることから、松尾祭に限らず神幸祭は通称「おいで」とも呼ばれています。
松尾祭は平安時代から行われている由緒ある祭りで、神幸祭の目玉である船渡御は長く途絶えていましたが、1983年に氏子たちの手によって再開されました。神輿の重さは1トンはあるそうで、強風や川の増水の際には安全を考慮して中止となることもありますが、今年は晴天で気温も上がり、青空の下でゆったりと神輿が渡っていく様子を眺めることができました。実は昨年は、水位が低いため中止となり、晴れていても行えるか心配していましたが、無事に催行されて関係者の皆様も安堵されていることでしょう。
唐櫃と6基の神輿は、桂大橋の上流から順番に船に乗せられます。特に神輿は、担ぎ手たちがザブザブと川に入って神輿を差し上げ、真ん中に船を通します。足元がぬかるんでいる中での力技ですので緊張する瞬間かもしれません。無事に神輿が乗ると、担ぎ手たちも別の船に乗り込んで対岸へと向かいます。担ぎ手の乗る船はモーター付きで速いのですが、神輿が乗る船は昔ながらの手漕ぎ船。先ほどまでの威勢のよい神輿行列とはまた違って、ゆったりと桂川を進んでいきます。
船渡御を見る特等席は、桂大橋の歩道の上です。神輿はちょうど橋の東の岸に上陸するため、橋の上からゆっくりと川を下る船を、雄大な川や山並みと一緒に眺めることができます。神輿が再び担がれて上陸する場面も上から眺めることができます。再び陸に上がった神輿は、桂大橋の下を通過しますが、その際には橋の上を走る車も一時通行止めとなります。神輿の上を車が通るのは、やはり罰当たりということなのでしょう。
橋の下をくぐると、祭事が行われる河川敷です。先に着いた神輿は後続を待ち、担ぎ手たちもお酒を飲んだり食事をとったりと休憩をしています。やがて6基の神輿と唐櫃がそろうと、祭事が行われ、各々が御旅所(おたびしょ)へと再び出発してきます。各御旅所には3週間鎮座していますので、よければ参拝に足を延ばしてみてください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2017」監修。特技はお箏の演奏。