神谷神社の雪景色

久美浜にある神谷神社は神谷太刀宮(かみたにたちのみや)神社とも呼ばれ、地元で信仰されている神社です。先日、雪の日に訪れました。

神谷神社

京都丹後鉄道の久美浜駅からも歩いて行ける場所にある神谷神社(かみたにじんじゃ)。久美浜の氏神として地元で信仰を集めています。道路を挟んで両側に社殿があり、山際には巨石の磐座(いわくら)があることでも知られます。御祭神は丹波道主命(たにはのみちぬしのみこと)です。

神谷神社

日本書紀によると、第10代・崇神天皇の時代に各地を平定する四道将軍(しどうしょうぐん)のひとりとして丹波国(古代の丹波=たには=のちの丹波・丹後・但馬)へと遣わされたとされる人物。丹後(丹波:たには)の古代を語る上では欠かせない人物です。神社の伝承では丹波道主命が出雲から八千矛神(大国主命)らを招き、出雲の人々の歓心を得、前途の平安を祈願したと伝わります。また、丹波道主命が常に帯刀していた国見剣(くにみのつるぎ)の国見が久美(くみ)となり「久美浜」の地名の由来になったとも伝わっています。

神谷神社 本殿

本殿は府の指定文化財で、江戸時代の天明元(1781)年の再建。入母屋造りでありながら、出雲の大社造りの流れであるともされ、周囲に縁を回す形式が丹後では珍しく「太刀宮造り」ともいわれています。冬場は雪除けの覆いが掛かっているため見るのは難しいですが、覆いがない時期は社殿に屋根を支える鬼の彫刻も確認でき、他の彫刻も見事ですので、ぜひじっくりとご覧いただきたい部分です。なお、丹波・丹後エリアの社寺彫刻でよく見られる中井権次一統の作ではありません(近くの宗雲寺にはあります)。

神谷神社 本殿の彫刻(雪のない時期の写真)

山際にある巨石の磐座は、古代以来の信仰を伝える場所とされ、近年まで女人禁制だったとか。単純な岩の塊ということではなく、切り落とされたような割れ目があるのも特徴で、真北に向かう割れ目からは北極星を観察したとか、あるいは夏至の日の出での方向に兜山が見え、ヒールストーンと呼ばれる割れ目の起点に当たる石に朝日が差すなどの考察がなされています。一度、夏至の日に眺めに来てみたいものです。近年は”鬼滅の刃”に出てくる岩に似ているとして注目されているそうです。丹後で同じような割れ目のある磐座では、宮津市の鍵守神社もあるでしょう。

神谷神社

雪の日の境内は、磐座付近の足元が滑りやすく、十分に注意が必要ですが厳かな雰囲気がありました。雪の日に限らず、久美浜に行かれる際には訪れてみて下さい。なお、境内には旧久美浜県の県庁舎の玄関棟だった建物の一部も建っています。

神谷神社
神谷神社 旧久美浜県庁舎の建物

ガイドのご紹介

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京都検定1級に5年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。

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