5月15日に、今宮神社の今宮祭の還幸祭が行われました。
毎年5月に今宮神社の今宮祭があり、5日が神幸祭、15日に近い日曜日に還幸祭が行われます。今年の還幸祭は15日に行われました。例年であれば剣鉾や八乙女が登場してより華やかですが、今年は縮小されて行列があり、太鼓、子ども神輿1基、大人のお神輿1基と最小限で行われていました。それでも久方ぶりにお神輿が登場し、氏子の方々が道路へ出て眺めたり手を合わせる様子は印象的でした。開催されたことに感謝いたします。個人的には、出発前や終了後はこれまでも見たことがありましたが、還幸祭の一連の流れは、今回初めて目にすることができました。
行列は13時に玄武神社の西にある御旅所を出発。西陣の氏子地域をめぐって16時に五辻通浄福寺西入る一色町(御供所)で神事を行って終了となります。御供所とは呼ばれますが、現在はマンションの前といった場所で行われています。
今宮祭の還幸祭が他の神社のお祭りと大きく異なるのは、この御供所での神事で御神霊が遷されて還幸祭はここで終了し、あとは御神霊が乗っていない神輿を神社へと戻すという点です。
本多健一氏の「京都の神社と祭り(中公新書)」によると、今宮祭は疫病鎮めを祈願した994年の船岡山御霊会に起源を持ち、疫病を広める疫神を乗せた神輿を”難波海”に流したという当時の記録を鑑みると、現在の御供所での神事は疫神を京都西方の外部へと追いやる意味を持ち、かつての御霊会の名残を伝えているのではないかとの指摘が書かれていました。
また、同本では御供所での神事の際、御神霊が神輿から「御幣」に遷されると書かれていましたが、今回私が見た限りは一般的な神事の流れで、特に御幣に御神霊を遷していると思しき手順は確認できませんでした。例年こうなのか、今年は縮小した神事のため、何かが省略されているのかはわかりませんが、いつどこで何に御神霊を遷したのかが気になる所です。
神事の所作はともかく、やはり還幸祭はここで終了が宣言されて神職の方は帰られ、御神霊が乗らない神輿も神社へと戻って行きました。神輿の経路図も、よく見るとこの神社へと戻る場面は点線となっていて、それまでの経路とは異なる位置づけで描かれています。
神事後に神輿が出発する直前には松明が灯されていたのも印象的でした。今年はこの今宮祭をはじめ、久しぶりに神輿のお祭りが復活し、多くが台車での巡行ですが、カシャンカシャンという鳴りかんの音も響いています。遠からずまた勇壮な神輿振りを目にできる日も楽しみに待ちたいと思います。神輿渡御の様子は動画でもご覧いただけます。
ガイドのご紹介
京都検定1級に5年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。
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