鹿王院(ろくおういん)を訪れました。舎利殿が修復中ですが、沙羅の花が咲いていました。
鹿王院は、嵐電・鹿王院駅のほど近くにあり、穴場と呼べるお寺です。JRの嵯峨嵐山駅からも歩いていくことができます。お寺は室町時代の初期、足利義満が自身の延命を願って創建した宝幢寺の塔頭に始まります。入り口の山門や客殿には義満の字による額がかかっており、その筆跡がうかがえます。
鹿王院の魅力のひとつは境内の奥へと続く長い参道。木々に包まれた参道を歩けば木漏れ日が心地よく、紅葉の時期はカエデが色づいてとても素敵です。京都屈指のおすすめの参道です。
境内を拝観すると客殿の縁側に座って時を過ごせます。建物では舎利殿が目を引きますが、鎌倉幕府の3代将軍・源実朝が宋の国から手に入れた仏牙舎利(ぶつげしゃり)を安置するお堂。仏牙舎利とは、お釈迦様の歯のことで、仏の説法が発せられる部分として仏舎利の中でも最も価値があるとされました。現在は建物が修復中で、まだしばらくかかりそうですが、修復された姿も楽しみに待ちたいと思います。
現在は境内で沙羅の花が咲いていました。お庭の奥、舎利殿脇の花付きがよい木は遠目にしか見られませんが、廊下の脇にある小ぶりの木は近くで眺めることが出来ました。「沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす」の平家物語の一節にもあるように無常を思わせてくれる花です。
正確には「夏椿」という花で、お釈迦さまが入滅する(亡くなる)際に、白い花を咲かせて悲しみのあまり枯れてしまった「沙羅双樹」とは異なる花です。 気候の違いで日本では同じ花が育たないため、白色で椿と同じくポトリと花を落とし、さらに1日花という儚い姿から、夏椿が沙羅双樹の花とみなされました。この時期は各地のお寺で目に出来ます。鹿王院では苔の上に散る様子に趣が感じられました。
ガイドのご紹介
京都検定1級に5年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。
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