3年ぶりに開催された17日の祇園祭前祭の山鉾巡行。先頭を行く長刀鉾のしめ縄切りの様子を動画でご紹介します。
山鉾巡行でも人気のある場所が四条麩屋町のしめ縄切りの場面。近年は四条通の歩道が広がって、以前よりも見やすくなりました。しめ縄切りは先頭を行く長刀鉾に乗るお稚児さんが真剣で、四条通に渡されたしめ縄を切る行事。祇園祭のハイライトとして知られています。
ただ、現在のようにお稚児さんがしめ縄を切るようになったのは昭和31年のこと。この年に前祭の巡行経路が変更され、その目玉として始まりました。江戸時代には、長刀鉾町の人によって低い位置にあるしめ縄が切られていた記録があるそうですが(祇園御霊会細記)、それが途絶えたのちに観光的なパフォーマンスとして復活したものが現在のしめ縄切りです。復活した当初は寺町通を上がった位置にしめ縄が張られていましたが、数年後に現在の四条麩屋町に移されました。ですので、現在のようにお稚児さんが行う注連縄切りを古くからあるものとして見るのは誤りということになります。
さて、四条麩屋町のしめ縄切りは9時20分頃に始まります。しめ縄をむすぶ斎竹(いみだけ)を立てる高橋町の皆様によって清めの塩が撒かれて、いよいよ長刀鉾がしめ縄の前へとやってきます。長刀鉾は四条通を東進して八坂神社(御旅所)に近づくため、神域への結界を切って進むという意味に解されています。稚児は後ろの稚児係によって操られるように太刀を握り、剣先を見つめ左右に降って神を宿らせ、そしてしめ縄を切ります。奏でられるお囃子は「お渡り」とも呼ばれる奉納囃子で、いわゆるコンチキチンのリズムとは違った厳かな曲調のもの。祇園祭は疫病鎮めを願う祭事ですが、この奉納囃子は疫病で命を落とした人々の霊を鎮魂する目的で奏でられるそうです。
今年はなんと1回ではしめ縄が切れず、2回行うという珍しい年となりました。多くの人が見守る中で大役を果たされたお稚児さんや関係者の皆様に感謝いたします。しめ縄切りの場面は動画で撮ってきました。このブログの最後でご紹介しますが、手振れがある点はご容赦ください。
ガイドのご紹介
京都検定1級に5年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。
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