旧三井家下鴨別邸の2階が28日まで特別公開されています。
旧三井家下鴨別邸は、下鴨神社の南の参道入り口付近に入り口があり、2016年から公開が始まりました。旧財閥で知られる三井家の先祖の霊を祀った顕名霊社(あきなれいしゃ)への参拝の休憩所として、大正14年に三井家10代目の三井八郎右衛門高棟(たかみね)によって建てられました。
その際、木屋町三条上るにあった明治13年建築の三井家の木屋町別邸が主屋として移築されました。下鴨別邸は、昭和24年には国に譲渡され、昭和26年以降は、京都家庭裁判所の所長の宿舎として平成19年まで使用されました。平成25年に文科省の所管となり管理団体は京都市に移され、老朽化部分の修復などが行われて、公開となりました。
旧三井家下鴨別邸は「主屋」「玄関棟」「茶室」の3棟からなる、望楼が特徴的な木造三階建てで、内外ともに簡素な意匠でまとめられています。外から見ると4階建てにも見えるのが面白いところ。鬼瓦には三井家の家紋「四ツ目結(ゆい)」があしらわれています。中に入ると、奥へと続く部屋の多さに驚きます。内部は書院造を基調としていますが、天井を高くし床に絨毯を敷くことで、椅子座の洋式居室として使用されたそうです。
玄関は複数あり、主人や使用人などの格によって使い分けられていました。杉戸絵には、原在中の長男・原在正が描いた見事なクジャクの絵があり、下鴨別邸の象徴のようになっています。庭園は、木々が茂り苔が美しい池泉庭園で、水は下鴨神社を流れる泉川から引かれ、滝の流れもあります。池は瓢箪の形をしています。燈籠や石組なども優美で、その中に散策路が設けられて、場所ごとに変化する庭や主屋の眺めを楽しむことができるでしょう。
現在はサルスベリの花が大変美しく、池に散る様も風情がありました。苔庭にはキキョウの花も咲いていました。庭園は二階からの眺めが最も美しくなるように設計されたともいい、確かにうなずける眺めです。二階の縁側から左手を臨むと「大文字」も望めます。二階の公開は8月28日まで、料金は700円です。
時間帯によって休止もありますが、座敷ではソフトドリンクやお菓子もいただくことができます(有料)。お時間が許せばぜひゆっくりとお過ごしください。
ガイドのご紹介
京都検定1級に5年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。
散策・講座のお知らせ
- 【過去の講座動画の販売を行っています!】
過去の講座動画の販売はこちらから。 - 【講座を受付中!】 7月~9月開催
【配信講座】京都を楽しむ春夏秋冬のめぐり方
【配信講座】京都の定番スポット徹底解説 - 【散策を受付中!】
- 8月30日(火)13時30分~16時頃
探検!京都駅から東本願寺へ 巨大建築と奥深い境内を散策
9月3日(土)09時30分~11時30分頃
必見の映像展示!リニューアルされた京都御苑の閑院宮邸跡と拾翠亭へ - 【受付予定】
9月16日(金)午後、9月21日(水)午後、9月27日(火)午後 - 【まいまい京都さんで受付中!】
8月28日(日)9時30分~12時頃
【哲学の道】古刹をつなぐ疏水べりの散歩道、岡崎神社から法然院まで
9月4日(日)14時30分~17時30分頃
【洛西】吉村のベスト竹林!若竹鮮やかな「竹の春」竹の回遊式庭園へ
9月17日(土)14時30分~17時頃
【木幡】京都と奈良を結ぶ要所、藤原一門の聖地“木幡の里”へ
9月19日(月・祝)14時~16時30分頃
【鳥羽離宮】史上空前規模の離宮跡!華やかな院政文化、平家物語の世界へ
9月25日(日)14時~16時30分頃
【中京】京都まちなか隠れ珍スポット10連発☆碁盤の目ジグザグ探検ツアー - 【NHK文化センター京都教室で受付中!】
「京ごよみ手帳」で学ぶ京都の行事 - 【NHK文化センター神戸教室で受付中!】
【3回】旬の京都を再発見!プロのガイドと歩く古都
京ごよみ手帳2022
吉村が監修した「京ごよみ手帳2022」が発売中です。詳細はこちらからご覧下さい。