清流が流れる「清滝」

先日、愛宕山の麓にある清滝の里を訪れました。

清滝川と渡猿橋

愛宕山への入り口にあるのが清滝という集落。その清滝へは奥嵯峨からトンネルを抜けて行くことができます。路線バスも走っているので、清滝までは気軽に行けるのではないでしょうか。

清滝トンネル

このトンネルは、かつて嵐山から清滝を結んでいた鉄道用のトンネルが元で、鉄道の廃止後に車両用トンネルとして生まれ変わりました。ただ、列車一両分の幅しかないため、信号で時間を区切っての相互通行となっています。奥嵯峨側からトンネルを覗くと出口が見えず、「心霊スポット」として怖がられる場所でもあります。が、もちろんそれは迷信。私も何度も自転車で通ったことがありますし、学生時代には友人と真夜中に自転車で通りぬけたこともありました。

清滝

とんねるを抜けた場所の「清滝」は清滝川が流れる美しい山あいの集落。神護寺でかわらけ投げをする谷はこの清滝川で、西明寺前で紅葉に囲まれた指月橋がかかるのも清滝川です。清滝の集落はその下流にあって、梅雨の時期にはゲンジボタルが見られる場所としても知られています。ホタルは雨上がりの曇り空を好んで飛ぶため、天気をよく見て来ていただくとよいでしょう。

清滝 与謝野晶子の歌碑

橋の上から澄んだ川の音に耳を傾けると、都会の喧騒からは遠く離れた場所へと来たように感じます。かの与謝野晶子は「ほととぎす 嵯峨へは一里 京へ三里 水の清滝 夜の明けやすき」と詠んでいます。

清滝川

かつては愛宕山麓の宿場としても賑わい、清滝川は身を清める水垢離(みずごり)の川ともなりました。水垢離は仏教の主に修験道で使われる言葉で、神道でいうところの禊(みそぎ)のことです。山岳部にある川の水は四季を通じて冷たく澄んでいて、そこに入ることでまさに身も心も清められると考えられていました。水垢離という呼称からも、愛宕山が本来は修験道による信仰の山であることが分かります。今でこそ愛宕神社ですが、江戸時代まで愛宕山頂にあったのは白雲寺というお寺。廃仏毀釈によって、お寺としての建物はほぼなくなり、現在のような神社になりました。

清滝

ケーブルや鉄道が通る以前に、いざ愛宕山に登れるかどうかを判断する目安とされたのが「試峠(こころみとうげ)」。試みの坂とも呼ばれます。奥嵯峨から清滝へと抜ける峠道で、現在は先述のトンネルがあるためこの坂を登る必要はなくなりました。かつてはこの坂を登れなければ愛宕山に登るのはとても無理だとして、登れるかどうかを試みる峠、試峠と呼ばれたわけです。ちなみに現代の試峠を登ると、変わった形に付けられたカーブミラーがあり、こちらも心霊スポットとして話題になることもあるようです。

試峠

清滝から愛宕山へは鳥居を目印に登山道が始まります。清滝から片道約2時間、山頂での滞在時間を考えて往復5時間は見ておきたい山です。正規の登山道からも外れないように注意しつつ、水分や着替えを持参して行かれるとよいでしょう。

清滝 愛宕山登り口

ガイドのご紹介

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京都検定1級に5年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。

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