9月11日に、大原野神社で御田刈祭(みたかりさい)が行われ、神相撲などが奉納されました。
大原野神社は京都の西山の麓の「大原野」にある神社で、長岡京遷都の際、藤原氏の氏神として奈良の春日大社の分霊を近隣に祀ったのが始まりです。平安時代になっても、藤原の家に女子が生まれると皇后や中宮になれるように祈願をし、願いが成就すると豪華な列で大原野神社に参詣をしました。境内は紅葉の名所としても知られ、花の寺として名高い勝持寺もすぐ近く、向かいには石の寺とも呼ばれる正法寺があります。
御田刈祭は、毎年9月の第2日曜日に行われている行事で、江戸時代の享保2(1717)年に始まり、五穀豊穣に感謝して神相撲を奉納する神事です。現在まで300年余り、途絶えることなく続いています。神事は朝10時から粛々と進められて行きますが、その時間帯に外ではこの後土俵入りを奉納する少年力士(豆力士)たちがスタンバイをしていました。
一通りの儀式に続いて、拝殿の前で少年力士による土俵入りが行われます。地元の大原の小学校の6年生の子が、露払いと太刀持ちを従え、堂々とした所作で見事な土俵入りを奉納します。なかなか本格的で、足が高く上がる様子は強靭な足腰があればこそだと感じました。
その後、場所を境内西の土俵に移して神事が続きます。続いて奉納されるのは「神相撲」。まずは土俵の御清めを行います。お祓いのあと、神相撲を奉納する神力士が、四方の柱をお酒で清めて行きます。神力士は土俵上では、終始塩が入れられた紙を口にくわえたまま動作を行う様子が印象的でした。
そして東西に分かれた二人の力士が2番戦いますが、最初が東が勝ち、次は西が勝つという流れが決まっていて、必ず1勝1敗になります。相撲は本来は勝ち負けをつけるものなのにも関わらず、そうしないのは、神社を支える北春日町と南春日町の住人(北は斎藤姓、南はハタ姓が多い)がお互いに力を合わせて助け合って生活することの大切さを伝えているからだとのことでした。五穀豊穣には人びとの協力も必要ということでしょうか。
神相撲に続いて、もう一度少年力士の土俵入りが行われます。今度は文字通りの土俵入りで、多くの観客が「よいしょ~」とかけ声を送り、拍手も盛大です。御田刈祭の相撲が地元の方にたいへん親しまれていることがよくわかります。この後、地元の小学生による相撲大会や赤ちゃんの土俵入りへと続いて行きます。大会は今年は例年よりは規模を縮小して少人数での学年別のトーナメントでしたが、白熱した取り組みが続きました。赤ちゃん土俵入りも3年ぶりということで、例年より年齢が高い2歳児まで受付があったようです(通常は0歳児)。久しぶりに例年のような雰囲気で開催されました。
ガイドのご紹介
京都検定1級に5年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。
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