先日、丹後の「与謝野町立古墳公園はにわ資料館」を訪れ、大風呂南1号墓のガラス釧(くしろ)を見に行きました。
丹後には羽衣天女、豊受大神と元伊勢、浦島伝説など数々の興味深い伝承がある一方で、考古学的にも日本海側で最も大きい網野銚子山古墳があるなど、古代史が大変面白い地域です。
古代丹後(713年に分国される前は”タニハ”と呼ばれる、後の丹波を合わせた大きな国だった)は、海が浅く入り江状に内陸へと入り込んだ「潟湖」と呼ばれる地形が複数あり、良好な港としての役割を果たしました。古代丹後は海を通じて、大陸からの先進的な文化を受容した地域だったのです。その繁栄は弥生時代から国内でも指折りで、当時としては最先端の道具や鉄製品も見つかっています。
大風呂南1号墳(与謝野町岩滝)は、天橋立がある阿蘇海を望む高台に築かれた弥生時代後期後半(2世紀後半)の墳墓で、青く透き通ったガラス釧(腕輪)をはじめ、11本の鉄剣、九州からの交易品と推定される13個の銅釧などが発見され、王墓と呼ぶにふさわしい墓です。特に美しいガラス釧は、東南アジアからの伝来品の可能性も考えられているほどのもの。
2022年は11月27日まで与謝野町立古墳公園はにわ資料館で、出土した本物のガラス釧が4年ぶりに展示をされています。私が初めて見たのは2016年の公開でしたが、今回改めて目にした本物のガラス釧は、やはり青く透明感のある美しさが印象に残ります。古墳時代よりもさらに古い弥生時代にこうした美しい副葬品が納められ、さらに現代まで残っていることにも感動します。「ふるさとミュージアム丹後」などでレプリカを目にすることもできるのですが、正直なところ本物とは印象が異なります。古代史に興味のある方はぜひこの機会にご覧下さい。
なお、古墳公園では日本海三大古墳のひとつの蛭子山古墳にも登れ、作山古墳では復元された埴輪などが並べられています。じっくりと時間を取って訪れてみてください。
ガイドのご紹介
京都検定1級に5年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。
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