特別公開中の上徳寺

先日、「京の冬の旅」で特別公開されている上徳寺を訪れました。

上徳寺

上徳寺は富小路五条下るにあるお寺です。普段は静かな境内ですが、子授けの世継地蔵があることで「京のよつぎさん」として知られています。江戸時代の前期、子どもを亡くし、悲しみに暮れていた八幡の清水という人がいました。清水は、再び子どもを授かれるようにと念じて本堂にこもると、阿弥陀様にすがり続けます。そして7日目の夜、お地蔵様が夢に現れ「私の姿を石に刻んで祈りなさい」と告げていきました。早速、お告げの通りに石のお地蔵様を作り、お堂を建て、日々祈願をしていると、ついに立派な世継ぎを授かったのです。

上徳寺 世継地蔵尊

お地蔵さまはその約70年後にも、僧侶の夜のお勤めの際に現れ「世に子なきものには子を授け、子孫相続し、その家の血縁絶えやらず、家運長久ならしめ、幸福薄きものには福を与うべし」とお告げをしたと伝わります。こうした由緒から現在も、子授けの厚い信仰を集め、お地蔵様を安置する地蔵堂には各地から参拝者が来られます。

阿茶の局

上徳寺は、1603年に、阿茶の局(上徳院)という家康の側室が開基となって創建されたお寺で、山号は塩竈(えんそう)山です。ご住職の名字も塩竈さんで、辺りには塩竈町、本塩竈町の地名も残ります。この変わった名は、付近にあった嵯峨天皇の皇子・源融(みなもとのとおる)の邸宅である河原院に由来します。源融は、その邸内の池に毎日30石もの海水を運ばせて、陸奥(宮城県)の塩竈の景色をまね、塩屋の煙を立たせて趣を楽しんだといわれています。

上徳寺 本堂 螺鈿飾りの柱

今回内部が公開されている本堂は、永観堂の祖師堂を移築したもので、彩色が残っていたり螺鈿で飾られている柱が見事。本尊の阿弥陀如来像は、上徳寺の建立に当たって滋賀の鞭崎八幡宮から家康が迎えた仏様ですが、現在は一時的に東京へ行かれているとのこと。堂内はすべて写真撮影OKで、徳川家康・秀忠・阿茶局の肖像画も撮ることができました。大変ありがたいことです。

上徳寺 客殿

さらに、別棟の客殿も初公開で、室内には江戸後期の円山派の絵師による紅葉や桜の襖絵などが残されています。現地の解説では聖護院から移築とのことでしたが、京の冬の旅の有料のパンフレットでは、貴族の邸から移築となっていました。現地のガイドさんにお聞きしてみたところ、移築元に関するはっきりとした記録があるわけではないようです。客殿に面する枯山水庭園も見事で、こちらも室内含めて撮影OKでした。

上徳寺 客殿前の庭園

さらに、世継地蔵尊のお堂にも入ることができ、間近で像高約2mの石像の世継地蔵を拝むことができました。狭いですが横側からも拝むことができますので、お見逃しなくご覧ください。大変近い距離で拝ませていただき、感動しました。こちらは堂内のお地蔵様は撮影OKで、外の絵馬は不可とのことでした。公開は3月18日まで(2月7日~9日は休止)。料金は800円。この機会にぜひ訪れてみて下さい。

上徳寺 世継地蔵尊

ガイドのご紹介

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京都検定1級に5年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。

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