間人の「百度打ち」

2月5日に京丹後市の間人(たいざ)で「百度打ち」という伝統行事が行われました。

間人 百度打ち

前回ご紹介をした丹後半島の間人(たいざ)。その岡成(おがなり)地区の伝統行事が「百度打ち」です。江戸時代から伝わる伝統行事で、化粧まわしを巻いた地元の若者が、毎年2月第1日曜日の朝7時から「わっしょい わっしょい」の掛け声で間人の集落を走り、三カ所の神社に参拝します。無病息災と家内安全を祈願するのだとか。一年間のお礼参りとして、秋祭りにも行われているそうです。

岡成区民センター

今回は念願かなって前日から丹後に宿泊し、見に来ることができました。地元の方々は朝6時半ころには岡成区民センターに集合してこられました。運よく入れていただけ、化粧まわしを見せて頂くことができましたが、地元の地名が入った名前が書かれています。対象3(1914)年、大正天皇ご即位の際に作られたものだとか。

化粧まわし

7時になると準備を整えて地元の方が出て来られます。この日は比較的暖かい5℃くらいの気温でしたが、やはり寒そうでした。足元は以前は白足袋だったようですが、今回は素足でした。ほどなく「わっしょい わっしょい」の掛け声でスタートしていきます。

間人 百度打ち

私は初見でもあったので、後ろから一緒に走って追いかけました。まず後ヶ浜(のちがはま)と呼ばれる海辺へと向かい、浜でお神酒を奉納したり、全員が小石を6個拾います。石はこの後参拝する3つのお社に2個ずつ奉納します。報道の方も来られていましたが、効率よく絵になる場所で待っておられました。

間人 百度打ち

その後また走り出して、岡成地区長宅へ向かいます。こちらでは暖かいものや簡単な食事などの接待を受けて小休止。やはり寒そうですので、暖かいものはありがたいようです。

間人 百度打ち

再度出発して、三つのお社を目指します。走る様子は地元の方々も道路で見守っておられました。私も汗だくになりながら後を追いかけました。神社は、三柱神社(向地地区)、稲荷神社(谷地区)、早尾神社(岡成地区)で、階段があったりと神社だけでも登るのは大変ですが、やがて体も温まってくるのかもしれません。

間人 百度打ち

それぞれの神社では神前に浜辺で拾ってきた石が2個ずつ奉納され、各自で参拝をしておられました。何とも不思議な風習です。百度打ちという名は、かつては浜辺でふんどし一丁で海に入って身を清め、石を拾って神社に備え、また浜辺に戻ると海に入って身を清め、石を拾って神社に備え…を繰り返したことに由来する呼び名だとの話もあります。現在は海に入ったりもしませんので、簡略化されていると言えるでしょう。

間人 百度打ち

間人(たいざ)の集落は高低差もあり、道が細い場所もありますが、その中を裸の男たちが早朝にかけていく様はやはり面白く、そして伝統をいまでも守っておられることが素晴らしいと感じました。

間人 百度打ち

約45分ほどかけて再び岡成区民センターに戻って百度打ちは終了です。私も全行程を一緒に走りました。汗だくの私を見て、地元の方が「来年は一緒に走りましょう!」と声をかけてきて下さいましたが、実はこの行事、地元の方でなくても飛び入り参加ができるそう。

間人 百度打ち

今回も初めて参加する飛び入りの方がおられ(事前に連絡はされておられたよう)、地元のメディアからインタビューを受けていました。次はいつ来られるかわかりませんが、チャンスがあれば私も化粧まわしを巻いて走ってみたいと思いました。百度打ちの様子は動画もありますので、よければご覧ください。

ガイドのご紹介

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京都検定1級に6年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。

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