
鞍馬山に咲く桜は雲珠桜(うずざくら)と呼ばれます。これは具体的な品種を指すのではなく、常緑の木々が覆う鞍馬山を点々と白やピンクで染める桜の様子が、平安時代の唐鞍(からくら)という馬具の飾り金具の「雲珠」に似ているためにそう呼ばれています。なお、雲珠そのものは古墳から副葬品として出土することもあり、実際には相当古い時代からあるものです。また、鞍馬は文字通り「馬の鞍」と書き表すので、雲珠桜には言葉遊びの意味合いもあるのでしょう。

一方で、渦桜、鞍馬雲珠、貴船雲珠と呼ばれる桜もあるために話がややこしいのですが、仁和寺境内に咲く桜を総称して「御室桜」というように、鞍馬山で咲く桜は、ソメイヨシノも山桜も、枝垂れも八重も、全てを含めて「雲珠桜」と呼ぶのです。雲珠桜は平安の昔から和歌にも詠まれ、はるか昔から人々の心を捉えてきました。雄大な自然の中で、恐らく今も当時と大きくは変わらない美しさを感じられるのではと思います。

現在の鞍馬寺では、仁王門周辺がまず美しく咲くポイント。その先、由岐神社から九十九折の参道にかけては、ほとんど桜はありませんので、無理せず片道200円のケーブルに乗ることをお勧めします。実はケーブルを降りてすぐの多宝塔前も枝垂れ桜が美しいスポットです。

新緑も美しい山中を歩き、本殿金堂の前まで来るとこちらも桜が美しく咲き誇っています。数種類の桜が植えられているようです。奥に広がる山並みをバックに咲く桜は見事で、京都の街中では味わうことができない桜の光景です。本殿金堂前からは眺めもよく、自然がいっぱいの境内。是非、桜の時期に一度は見ていただきたいお寺です。

ガイドのご紹介

京都検定1級に6年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。
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