7月15日・16日に祇園で青龍神水を用いた茶会が催され、16日には神賑の行事奉納がありました。

昨今の祇園祭で登場するのが「青龍神水」です。チラシから引用をすると「(青龍神水は)青龍の鎮まる地とされる八坂神社のご神水と、祇園祭はじまりの地である神泉苑の閼伽井(あかい)の水とを交換することによって生まれました。令和4年に初めて、この神聖な水を以て祇園祭各神事を斎行すると共に、(中略)。これは令和の疫難を乗り越えるため、水による浄化を期待したものです。(後略)」

補足をすると、八坂神社の本殿の下には、龍が棲むといわれる龍穴があるとされ、大変深い井戸なのだそう。その深さ故に京都盆地の各水脈と龍穴が繋がっているとも解釈されます。そして祇園祭発祥の地である神泉苑も、どんな日照りでも水が涸れないという、まさに神の泉。祇園祭は疫病鎮めのお祭りですが、”水の浄化”作用によって疫病鎮めを願うことが大切だという考え方になるかと思います。

その青龍神水を用いた「祇園大茶会」が、7月15日・16日に今年初めて開催となりました。旧暦では15日・16日は満月の頃で、水の力が最も増すとされるそう。祇園甲部・祇園東の芸舞妓さんのご接待で、歩行者天国となった四条通で19時から行われました。

私も初日に早速参加してみました。席はイス席で、27名が一気に入って時間で入れ替わるというシステム。料金は2000円。席では一眼レフカメラでの写真撮影は禁止で、スマホ・タブレットでの撮影はOKというルールでした。なお、外からも茶会の様子は目にすることができ、外からの撮影は規制がされていませんでした。私は15日に茶会に参加しましたが、16日にも訪れており、今回掲載しているのは準備中の時や外から撮ったものです。

順番が来て席に通されると、まずは青龍神水の利き水がありました。美味しいお水でした。この時期は汗もかきやすく、水のありがたさを感じます。そして”とらや”のお菓子が出て、やがて芸舞妓さんが青龍神水を使用したお抹茶を運んできて下さいます。北野天満宮の梅花祭のように、複数名の芸舞妓さんが運ぶ姿は大変華やかでした。

脇では諫山宝樹(いさやまたまじゅ)さんによる、龍の絵を描く実演も目にすることができました。かわいい子どもさんが描かれるのが印象的です。諫山さんは近年の八坂神社の新年の絵馬も担当されています。

普段は道路の真ん中で行われるお茶会。青龍神水は山鉾巡行の辻回しの際に交差点に撒かれたり、神輿が御旅所に鎮座している一週間は毎日水を供えて、前日の水は鴨川に流すなど、今年も各神事で用いられました。そのお水を頂ける貴重な機会となりました。

また、16日には10日のお迎え提灯行列でも奉納があった「鷺踊」「祇園祭音頭」の奉納も行われました。鷺踊は小さい”しゃぐま”の子は登場しませんでしたが、見事な舞を披露していただけました。

さらに八坂神社では島根県の石見神楽の奉納もありました。これらは神賑行事として例年の祇園祭でも恒例の行事。今年は細かい行事を含めて例年通りに戻ってきて大変嬉しく思います。青龍神水を用いた新しい行事と、これまでもあった定例の行事とそれぞれを楽しむことができました。
ガイドのご紹介

京都検定1級に6年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。
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