石仏巡りと浄瑠璃寺

岩船寺から石仏巡り浄瑠璃寺も訪れました。

浄瑠璃寺

岩船寺から当尾(とうの)の石仏巡りの道を経て浄瑠璃寺に行くコースはおすすめです。人気の「笑い仏」など、いくつかの石仏と出会う道は下り坂。一部急な部分もありますが、基本的にはのどかな風景を楽しめる道が続くため、都会の喧騒とは別世界を感じられることでしょう。応時には人々が行きかったことを思いながら歩くことができます。笑い仏は鎌倉時代の石仏とは思えないほど状態がよく、優しい表情を見せています。

笑い仏

浄瑠璃寺の創建には不明な点が多いですが、平安時代末期に末法思想が流行った時期に建てられたと考えられています。国宝の阿弥陀堂は、当時多数建てられた九体阿弥陀堂の唯一の遺構で、堂内には人が極楽往生に至る9つの段階に応じた9体の阿弥陀如来像が、今も金色の輝きで残されています。約900年前の仏様が、恐らく当時と変わらぬ並びで目の前に残っているという歴史の深さ。もちろん建物も阿弥陀仏も国宝です。

浄瑠璃寺

ただ、9体(躯)の阿弥陀仏は2018年から1体~2体ずつ順次修復に入り、今年最後の2体の修復が完了しました。ただ、その2体は夏期には奈良国立博物館の特別展に出展しており、現在は1体が戻っていますが、もう1体は11月12日まで東京国立博物館で開催中の特別展に出展中です。その後、最後の1体も年末には寺に戻る予定とのことです。

浄瑠璃寺

庭園は浄土思想を取り入れており、西に阿弥陀堂、東に薬師如来を祀る朱色の美しい三重塔があります。もともと寺の創建時の本尊は薬師如来と考えられており、薬師如来の浄土である薬師瑠璃光浄土から、寺は浄瑠璃寺と呼ばれました。薬師如来は、病といった現世の苦しみを除き、阿弥陀如来は来世で極楽浄土に導いて下さる仏様。当時の人々の信仰が目に見える形で現れたお寺といえるでしょう。ちなみに三重塔は平安時代の末期に一条大宮から移築された国宝の塔。大変貴重な平安時代の建築物です。

浄瑠璃寺

浄瑠璃寺の庭園は実は全国でもたった36カ所しかない「特別名勝」に指定されている貴重なお庭。境内で有料なのは阿弥陀堂の拝観のみで、お庭は自由に歩かせていただくことができます。風景が殊のほか美しいという特別名勝のお庭の眺め。往時は、阿弥陀堂の扉が開き、池に映る阿弥陀様のお姿に手を合わせていました。秋分の日には今でも扉が外されて阿弥陀仏が池に映るそうですが、一般には非公開です。

浄瑠璃寺

また境内は、近年は猫の数が増えて「猫寺」と呼べるほどにもなっていますが、今はその数は落ち着いているようです。浄瑠璃寺へは、JR加茂駅からのコミュニティバスのほか、奈良方面との臨時便は春季・秋季の各土日祝のみの運行となっています。2023年のバスの詳細はこちらから確認いただけます。この時期はコスモスや酔芙蓉が咲いて綺麗でした。

浄瑠璃寺

ガイドのご紹介

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京都検定1級に6年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。

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