北向山不動院の御開帳 採燈大護摩供

1月16日に北向山不動院で、本尊の御開帳採燈大護摩供が行われました。

北向山不動院 採燈大護摩供

北向山不動院は、地下鉄・竹田駅から歩いて行ける場所にあり、平安時代末期の鳥羽離宮の歴史を今に伝える貴重な場所です。寺の創建は1130年とされ、当時の鳥羽上皇が病気になった際、真言宗中興の祖でもある興教大師・覚鑁(かくばん)上人が鳥羽離宮内で病気平癒の祈祷を行いました。

北向山不動院

その満願の日、鳥羽上皇の夢の中に、結跏趺坐(けっかふざ)を解いて右足を垂れ、正にこれから立ち上がらんとされる半跏の不動明王が出現されたといいます。そして回復された上皇の命により、現在も伝わる本尊の半跏不動明王が王城鎮護のため北を向いてに祀られ、北向山不動院として創建されました。その後、応仁の乱や慶長伏見地震で被害にあいましたが、都度再建されて現在に至っています(現在は天台宗系の単立寺院)。

北向山不動院 四天王像

現在の本堂は江戸時代の霊元上皇によって、子の東山天皇の旧殿を賜って移築したもので、北側の正面に立派な唐破風が付いているのが特徴です。お堂の後ろの方は近代的な建築になっています。

北向山不動院 四天王像 邪鬼

北向山不動院では、鳥羽上皇の誕生日の毎年1月16日に、御本尊のご開帳と参拝者一人一人に特別加持祈祷が行われています。境内を訪れると、多くの参拝者で賑わっていました。本尊への参拝やお加持(内陣参拝特別加持祈祷)は10時~12時、13時~14時半頃で行われ、1000円。裏から本堂に上がり、お堂の正面からは目にすることができない本尊・不動明王像を拝することができました。

北向山不動院 採燈大護摩供

この仏像は、文化遺産オンラインのホームページなどによると、仏師・定朝→頼助→康助と続き、奈良を拠点とした「康助」の作とされ、時代は平安後期と鳥羽離宮期のものと見られます。ヒノキかと思われる針葉樹材の寄木造で、頭部などは複雑な構造をしているとのこと。玉眼が印象的ですが、左方は後補ながら、右方は創建当初のもので制作時より玉眼を嵌めていたと推定され、製作時期のわかるものでは奈良の長岳寺像に次ぐ二例目という像です。本堂の表側からは御前立像を拝することができますが、この本尊はその後ろに祀られているため、通常はその存在もあまり感じられず、1月16日に限って御開帳されるという貴重な機会です。よくここまで残ったという奇跡も感じながら、見事な不動明王像と向き合うことができました。

北向山不動院 採燈大護摩供

また、14時半過ぎから採燈大護摩供が修され、山伏問答や法弓の儀などを経て火が点けられると勇壮な炎が上がりました。風下は火の粉が舞うためご注意ください。さらに護摩木が投げ入れられ、やがて火が落ち着くと護摩壇が崩され、本堂前で読経されて儀式が終了です。最後には、地元の方は護摩供の結界のしめ縄に下げられていた幣や藁を外して、燃え残った炭を包んで持ち帰っておられました。

北向山不動院 採燈大護摩供

この日の境内では無料のおぜんざいの接待もありました。また、住職様の奥様である南面由子さんは新聞紙で作る立体造形のアーティストでもあり、本堂内には人が乗れるほど大きな龍の姿があり、記念撮影もできました。

北向山不動院 見事な龍

さらに本堂表側の堂内では、江戸時代の四天王像がお身拭いを終えて公開され、こちらは写真撮影がOKでした。踏まれている邪鬼の姿が面白いです。北向山不動院は、毎月 3日・16日・28日が御縁日で本堂表側に上がっての参拝ができ、現在も信仰を集めています。行事日程の詳細は北向山不動院のホームページをご覧ください。

ガイドのご紹介

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京都検定1級に6年連続の最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。BS朝日「あなたの知らない京都旅」、KBS京都(BS11)「京都浪漫」出演。特技はお箏の演奏。

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