御所の西にある有栖川宮旧邸「有栖館」が、3月29日まで無料で公開されています。
有栖川宮家は、江戸時代のはじめ寛永2(1625)年に、後陽成天皇の第七皇子である好仁(よしひと)親王によって創設されました。有栖川宮家は、伏見宮家、桂宮家、閑院宮家とともに「四親王家」と呼ばれ、大正時代まで続いた宮家でした。歴史上では有栖川宮熾仁(たるひと)親王が有名です。和宮の婚約者でもあった熾仁親王は、明治新政府が鳥羽伏見の戦いを制し、江戸へと攻め上る際に東征大総督となって東海道を進軍していきました。
有栖川宮の邸宅は、かつては御所の建礼門の前にあり、明治初期には京都裁判所の仮庁舎としても使用されました。1891年に現在地に移築されると、旧京都地方裁判所の所長宿舎の一部として2007年まで使用されていました。2008年8月になって平安女学院が取得し、庭園等も新たに整備をし、有栖館として特別公開されるようになりました。
旧邸に入るとまず広々とした客間を見学します。客間の手前側は、板張りとなっていて能舞台としても使用できるのだそうです。奥側は畳が敷かれた和室となっていて、付書院を持つ「上段の間」も設けられています。欄間の彫刻や窓の形などが、宮家の趣を伝えています。また、パネルでの展示もあり、有栖川宮の歴史についても分かるようになっていました。
客間の南には、2009年に整備された庭が広がっています。十一代目の小川治兵衛氏によるもので、「平成の植治の庭」とも呼ばれているそう。元の庭に土を入れてかさ上げし、石材も様々な形を持った多彩な構造のお庭です。奥には平安女学院の赤レンガの建物も見えて、お庭にうまく溶け込んでいます。
今回は学院創立150周年の記念事業として、3月29日まで無料で公開されるという、大変ありがたい機会。また、向かいの聖アグネス教会も28日まで公開されています。時間は10時~15時50分最終受付です。庭園には「醍醐の桜」も植わっており、これから咲き進んできます。お近くに行かれる際にはぜひ訪れてみて下さい。
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