泉涌寺へ向かう「夢の浮橋」跡


源氏物語、宇治十帖の最後として知られる「夢の浮橋」。泉涌寺(せんにゅうじ)から下ったところに、かつて夢の浮橋と呼ばれた橋の跡があります。
現在は橋は無く、あるのは石碑と案内板のみ。かつてこの地には川が流れ、そこに夢の浮橋と呼ばれる橋がかかっていました。橋は四条天皇以来の歴代天皇が眠る、泉涌寺へと向かうためのものでした。現世の無情さや人生のはかなさを、浪に漂う浮橋にたとえ、あの世とこの世の境として、源氏物語にちなんで後世に名づけられました。架けられたのは天正年間と伝わります。
現在は川の暗渠化に伴い橋は撤去されていて、泉涌寺の僧・道円が詠んだ「ことはりや 夢の浮橋 心して 還らぬ御幸 志ばし止めむ」の歌碑が置かれています。皇族が亡くなられ泉涌寺へと向かう還らぬ御幸の際、浮橋のたもとでしばし感慨にふけったのでしょうか。「ことはり」とは「理り」のことでしょう。天皇でも民衆でも、そして時代を経た今でも、無常というものは変わることのない理りなのかもしれません。
橋はもうありませんが、石碑のすぐ隣には立派なエノキの木があり、架かっていた当時を知っているのかもしれませんね。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として9年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。散策メニューはこちらから

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