東福寺 方丈庭園・八相の庭の雪景色

東福寺 雪の方丈庭園 南庭
2月14日に京都の雪。今回は、東福寺の有料拝観エリアである方丈庭園・八相の庭の雪景色です。

東福寺 雪の方丈庭園 南庭東福寺の拝観は午前9時から始まります。通天橋・開山堂エリアと方丈庭園エリアでは別々の拝観料が必要で、受付場所も異なっています。今回は方丈庭園から先に入ってみました。方丈庭園は「昭和の小堀遠州」とも呼ばれる重森三玲の作庭で、方丈の東西南北にそれぞれ趣の異なるお庭が昭和14(1939)年に築かれています。いずれも鎌倉時代の作庭手法を元にした枯山水庭園。仏教の言葉である「八相成道(はっそうじょうどう)」にちなんで「八相の庭」と呼ばれています。

東福寺 雪の方丈庭園 南庭「八相成道」は「釈迦八相」ともいわれ、釈迦が生まれてから亡くなる(涅槃)までの間に経た八段階を表しています。普通の人間は四段階しか経ませんが、釈迦は「出家(道を求める)」「降魔(ごうま:煩悩に勝つ)」「成道(じょうどう:悟りを得る)」「転法輪(てんぽうりん:教えを説く)」という、さらなる四段階が加わっています。

東福寺 雪の方丈庭園 南庭東福寺の方丈庭園は四方にあるという意味で珍しく、いずれも個性的で目を楽しませてくれます。南庭は蓬莱神仙思想を取り入れたお庭で、白砂が描く荒海の中に巨石が島を作り出しています。6mほどの長い石が寝かされているところが斬新で、古くからのお庭にはない意匠です。庭の西側には5つの小山があって仙人が住む神仙境を表し、かつ京都五山にもちなんでいます。庭の奥には堂々たる東福寺の伽藍が望め、庭に奥行きを感じる造りとなっています。

東福寺 雪の方丈庭園 南庭雪の日は白砂に引かれた直線や円形の線が浮き立ち、純白が醸し出す清廉さに、いつも以上にお庭が引き締まっている印象を受けました。朝一番にやってきましたので、方丈にはほとんど人がおらず、静かに眺められたことも嬉しく思います。雪の勢いは強く、これ以上積雪が増えると、庭園は「雪原」となってしまったでしょう。ちょうどよい量の頃に入れたと思います。

東福寺 雪の方丈庭園 西庭方丈の西庭は、大きな市松模様が特徴的で「井田(せいでん)の庭」と呼ばれています。皐月の刈り込みと葛石で表現された市松模様は、日本伝統の模様です。実は、東福寺の開山堂がある普門院前の庭園に市松模様があり、重森三玲はこれに影響を受けたのではとも考えられています。雪の日は、皐月の上の部分にだけ白くなって、横の部分の黒が目立ち、より立体的な印象を受けました。

雪の東福寺 通天台からの通天橋北庭に向かう前に、方丈の北西側からは通天橋を望むこともできます。橋を望むこの場所は「通天台」と呼ばれていて、通天橋から望むのとはまた違った渓谷(洗玉澗:せんぎょくかん)の木々の眺めを楽しめます。ここからだと、通天橋は長い廊下のようにも見え、こちらも南の臥雲橋から望むのとはまた違っていて不思議です。雪の渓谷は、やはり文句なしの眺めですね。

東福寺 雪の方丈庭園 北庭北庭は市松模様がより細かく、苔と切り石が見事に調和した庭園。八相の庭の中でも代表的な意匠の一つでしょう。西庭の大きな市松模様が、小さくなって受け継がれ、それがさらに北庭の北東へと続くに従って密度が減り、やがてほとんど苔の庭となっていきます。実は作庭当時は苔の範囲は狭く白川砂があったそうですが、現在はすぐ北の渓谷からの湿気で苔が繁殖し、この景観となっています。雪の日は苔の緑は見えず、白の中に凹凸で市松模様が浮かび上がっていました。

東福寺 雪の方丈庭園 東庭東庭は、南庭の東にあり、北斗七星の形した石が目を引く一角です。本来であれば、入口の庫裏から入って最初に見えるお庭ですが、多くの方が南庭の方に先に目をやるため、ここでも最後の紹介としています。北斗七星の形に並べれている石は、東司(とうす:お手洗い)で使用されていた礎石で、東司の解体修理をした際に、余材として出てきたものを再利用しています。日本庭園に星座の意匠を用いることは、当時他に類を見ず、斬新な発想の極みとも言えます。お庭は廊下の庇で雪が積もらない部分もあり、その明暗のコントラストが他のお庭とは異なっていました。

東福寺 雪の方丈庭園 南庭いずれも印象の異なる、個性的な美を持つお庭。雪の日はやはり特別で、通常の時に訪れるのとは全く違った場所にさえ感じます。滅多に見られない光景だからこそ、より一層美しさを感じるのかもしれません。次回は、東福寺の通天橋の周りを彩った雪と、普門院前の庭園の様子をご紹介予定です。

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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