相国寺(しょうこくじ)では、秋の特別拝観が行われています。
相国寺は臨済宗相国寺派の大本山で、近くに「花の御所」を構えた足利義満が創建しました。あの金閣寺と銀閣寺も相国寺派に属し、将軍ゆかりの格式高きお寺です。かつては高さ109mを誇る七重塔もあったほど隆盛を極めましたが、落雷や応仁の乱で諸堂は焼けてしまい、現在の建物の多くは江戸時代の天明の大火以後の建築です。その中でも法堂(仏殿も兼ねる)は1605年に豊臣秀頼が再建した古い建物。天井の蟠龍図(ばんりゅうず)は狩野光信の名作で、下から手を叩くと音が響く鳴龍としても知られています。
相国寺の開山堂には、夢窓疎石像が開山として祀られています。しかし相国寺の創建は1392年で、夢窓疎石はすでに亡くなっています。実際には、疎石の弟子の春屋妙葩(しゅんおくみょうは)が第2世(実質の初代)として入りました。現在の開山堂は女院御所内の御殿を下賜され、その前に広がる庭園は江戸時代後期の枯山水庭園です。
白砂の中に石を置いた龍安寺のごとき庭の背後には、苔むした緩やかな築山があり、見事な紅葉が色づきます。さらには庭園の東から奥には一筋の小川が流れています。かつては賀茂川からの水を取り入れた禁裏御用水が水を湛えていましたが、昭和10年ころに大水害の影響もあってか流れが途絶えてしまい、現在は枯れ川としての名残をとどめています。このように通り一辺の枯山水ではなく、川も流れ、高低差のある築山がある微妙な変化が目を楽しませてくれるお庭です。縁側に座ってゆったりと眺めると時間を忘れられることでしょう。
相国寺は春と秋のみ特別公開され、法堂の鳴龍は春秋共通、開山堂庭園は秋のみの公開です。2021年は12月11日までの公開されています(10月2日~5日、12月8日は拝観時間が一部変更)。料金は800円です。開山堂庭園は紅葉の穴場でもあり、11月中旬から下旬に訪れると見事な紅葉に出会えるでしょう。裏方丈庭園は、春の枝垂れ桜(常照皇寺の九重桜の株分け)も綺麗です。様々な時期に訪れていただくとよいでしょう。
なお、今年のポスターやチラシには五芒星が頭に刻まれている法堂の鬼瓦の写真が使われており、見つけた方は売店に申告すると粗品をいただけるとのこと(なくなり次第終了)。また、チラシは疫病退散のお守りになるとのことでした。
ガイドのご紹介
京都検定1級に4年連続最高得点で合格(第14回~第17回、第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2020」監修。特技はお箏の演奏。
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