京都市の右京区山間部にある黒田百年桜。14日に訪れると満開で少し散り始めていました。
黒田百年桜は京都市右京区京北町の山間部に咲く遅咲きの桜です。常照皇寺から国道477号を東へ行くと道路に面して春日神社があり、その鳥居の向かって左に咲いています。無料の駐車場もありますので、お車の方は常照皇寺と併せて訪れてみるのがおすすめです。14日はちょうど満開で少し散り始めていました。
この桜が植わる右京区京北町宮地区は、近世以前は黒田宮村と称していました。その氏神である春日神社の脇にはかつて桜の大木がありましたが、明治6年の台風により倒れ、これを惜しんだ人々が跡に八重桜を植えました。ところが通常の桜と思って植えたものが、実は山桜の突然変異で一重と八重の混じり咲く珍しい種とわかり、京の桜守として知られる15代目・佐野藤右衛門さんにより昭和42年に「百年桜」と命名されました。
名前の由来は、当時で樹齢はおよそ100年であったことと、明治百年にあたることによるそうです。以上は、平成5年発行「京の桜(佐野藤右衛門発行)」の本を参考にしましたが、現地の案内板では樹齢は300余年とされており、いずれが正しいかはよくわかりません。また、造幣局のホームページにも「明治100年を記念する意味も含め、この名が付けられました。」と書かれています。
一重と八重が混じる品種といえば、京都御所の宜秋門の向かいに植わる「御車返しの桜」があります。黒田百年桜も確かに一重と八重があり不思議です。花は優しいピンク色でとても綺麗でした。
突然変異のため種子はできないそうですが、佐野藤右衛門親子(15代目・16代目)が、約30年もの苦労の末に苗づくりに成功し、昭和58年に造幣局の桜の通り抜け百年を記念して2本の若木が造幣局に植えられたそうです。貴重な桜が受け継がれていくのは素晴らしいことです。黒田百年桜はすでに散り初めで、15日の雨で散りが進みそうです。お早めに訪れてみてください。
ガイドのご紹介
京都検定1級に6年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。
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